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硫黄島からの手紙      


2006年 アメリカ 

<監督>クリント・イーストウッド
<キャスト>渡辺謙 , 二宮和也 , 加瀬亮 , 中村獅童 , 裕木奈江

<ストーリー>
1944年6月、硫黄島に新たな指揮官、栗林忠道中将(渡辺謙)が降り立った。アメリカの力を身をもって知る栗林は、硫黄島における新たな防衛作戦を計画する。彼の指揮に不満を持つ古参将校もいたが、彼に助けられた事のある西郷(二宮和也)や、ロサンゼルス・オリンピック馬術競技金メダリストの“バロン西”こと西竹一中佐(伊原剛志 )のような理解者も増えていった。そして、45年2月、アメリカの攻撃が始まった・・・。

<感想>
予想とは違う、静かな映画でした。もちろん、戦闘シーンもありますが、むしろ、それ以前に、この島を象徴とする、日本の戦争に対する考え方そのものを表しているような、そんな映画だったような気がします。この映画を、アメリカ人であるクリント・イーストウッドが作ったとは、ほんとうに驚きです。
どうして、今まで、これを日本人が作れなかったのでしょうかねぇ・・・。
こんなに頑張って、日本を守ろうとした彼らのことを、今までほとんど知らずにいたことを、彼らの後世の人間として、申し訳なく思いました。
映画上映中は、意外にもほとんど泣かなかったのですが、ラスト、彼らの手紙の束を見て、亡くなったのは、”ただの兵隊”じゃなく、彼らのことを思い、心配する、親も妻も子供もいる、生身の血の通った人間だったことを改めて深く感じられて、涙が溢れました。

”世界の”渡辺謙は、思慮深く、暖かみのある栗林中将を好演しています。最初のセリフを聞いただけで、上手いなぁ〜〜と思いました(^^)。このうまさを、日本語で理解できるのが、日本人と、その他、ほんのわずかの日本語理解者しかいないなんて、もったいないですね〜。
また、実年齢よりも、だいぶ年上の役を与えられたと思われる二宮君も、立派に主役級の役をこなしていましたね(^^)。

この作品は、「父親たちの星条旗」との2部作ということで、二つの作品が、リンクしているのかと思っていたのですが、それはありませんでした。あの時の青年兵士は、どうなったのかとか、あの時、撃たれたのは、日本側では、どうゆう状況だったのかなど分かるのかとちょっと期待していたので、残念でした。
また、「父親たちの〜」の時には、硫黄島が陥落するまでの1ヶ月が、とても長く感じたのに、今回の映画では、その時間の長さがあまり感じられなかったのも意外でした。それは、攻める側と、守る側の時間の感覚の違いもあるのかもしれないのですが・・・。

平日昼間の鑑賞でしたが、満席でした。しかも、ほとんどが、高齢者、そして、男性が多いことに、この映画への、いつもと違う関心の高まりが感じられました。「父親たちの星条旗」の鑑賞後も思いましたが、これをご覧になった老紳士たちの意見を伺いたいですね。(2006,12,15)



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