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イントゥ・ザ・ワイルド      


2007年 アメリカ アドベンチャー・伝記   

<監督>ショーン・ペン
<キャスト>エミール・ハーシュ , マーシャ・ゲイ・ハーデン , ウィリアム・ハート , ジェナ・マローン , キャサリン・キーナー , ヴィンス・ヴォーン , クリステン・スチュワート , ザック・ガリフィナーキス

<ストーリー>
1990年夏、大学を卒業したクリス・マッカンドレス(エミール・ハーシュ)は、両親(ウィリアム・ハート、マーシャ・ゲイ・ハーデン)や妹(ジェナ・マローン)に何も告げずに、アラスカに向けて旅立った。旅の途中で彼は、様々な人に出会い、成長してゆくのだったが、一方で、突然去っていったクリスのことを思い、家族は、苦しんでいた・・・。

<感想>
不仲な両親から逃避するために、一人、旅に出た実在の人物、クリス・マッカンドレスの足跡を描いた作品です。
尊敬することができない両親から、精神的にも、金銭的にも独立するために、全てを捨て、自分の足跡を追わせないように、周到に計画して旅に出たクリス。
そこまでクリスを追い込んだものは、何だったのか。そして、彼が求めた物は何なのかを、映画は、徐々に明らかにしてゆきます。

ナレーションはジェナ・マローン演じるクリスの妹、カリーン・マッカンドレス。
クリスと共に育ち、彼と同じ境遇で育った彼女が、彼の気持ちを代弁しているようでした。

動機はどうあれ、文明社会から逃れて、自然を愛し、旅に出る人は、多いです。
実際クリスも旅をしながら、そういう人たちに出会い、語り合います。
すぐに別れなければならない人もいれば、別れがたい人もいて、
それでも、彼は、自分を抑えきれないかのように、旅を続けます。

そういう体験をした人は、きっと、街に戻って、猥雑な事ごとに溢れた生活を送ることは、とても苦痛なことなのだろうなと思います。
実際、クリスも、街に戻ってもすぐに、去るシーンがありました。その気持も、分かりますね〜。

自然の中での生活は、
純粋に生きるための、自分だけの生活。
自然の驚異と、それとの闘い。
危険も多いでしょうけれど、それだけに、また、充実感も感じられるのでしょう。

クリスを演じたのは、エミール・ハーシュ。彼のことは、10代の頃(「卒業の朝」「イノセント・ボーイズ 」)から注目してました!(^^)。
終盤の激やせシーンは、俳優としての意地を見ました。でも、その後、ちょっとリバウンドで太っちゃったかもーーー(^^;。

監督は、製作、脚本も兼ねたショーン・ペン。
ジョン・クラカワーのノンフィクション「荒野へ」を読んで、感動し、10年がかりで映画化したそうです。

クリスの生き方は、若いときの衝動として理解も出来ますが、自然を甘く見たという気もしないでもないです。
でもそれは、あくまでも結果論で、数年後、何事もなく、家族の元、もしくは、社会生活に戻ってきていたかもしれないし、そのまま大自然と共に生き続けることになったかも。どちらにしても、貴重な体験として、彼の人生に大きく影響したことでしょう。

ショーン・ペンの作り上げたこの映画は、繊細で美しく、感動的で、前向きな印象の作品で、すばらしかったと思います。(2009,09,21)



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