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親指のうずき
アガサ・クリスティ

亡くなった叔母の遺品、一幅の風景画を見たタペンスは奇妙な胸騒ぎを覚えた。描かれている運河のそばの一軒家に見覚えがあったのだ。悪い予感を裏付けるかのように、絵のもともとの所有者だった老婦人が失踪した・・・初老を迎えてもますます元気、冒険大好きのおしどり探偵トミーとタペンス、縦横無尽の大活躍!(裏表紙より)



トミーとタペンスシリーズの長編3作目です。

前作の「NかMか」から27年経って発表された作品です。
トミーとタペンスも、それ相応に歳を取って、60代後半でしょうか?
歳を取っても、好奇心旺盛で、行動力があり、退屈な生活にはうんざりな二人。
特にタペンスは、無鉄砲で、夫のトミーの困り顔が目に浮かぶようでした。

ある漠然とした謎を追ってタペンスは、一人旅に出てゆきます。
彼女の行動力には、まったくもって驚かされます(^_^)。
しばらくは、穏やかな旅紀行のような感じが続くので、実はちょっと退屈してしまいました。
あまりにも漠然としていて、なかなか真実の姿が見えてきません。
謎の本質に近づくのは、終盤になってから。
そこまで来ると、登場人物たちの本当の姿が見えてきて、
ラストは、一気呵成。今までの謎が一気に解けてゆきました。

題名の「親指のうずき」は、シェイクスピアからの引用で、”悪い予感”・・・みたいな感じですかね。

私は、このシリーズを一気に読んでいるので、トミーとタペンス夫妻の加齢の早さに戸惑ってしまいます。
今回は、トミーの叔母のお見舞いに老人ホームに行くのですが、そこで、「入所希望ですか?」なんて聞かれたりするので、あぁ、そんな歳なんだなと驚きました。

次は、トミーとタペンスシリーズの最終話であり、また、クリスティが最後に執筆したという「運命の裏木戸」です。楽しみ!(^_^) (2021,04,01)


1922年 『秘密機関』(The Secret Adversary)
1929年 『おしどり探偵』(短編集)
1941年 『NかMか』(N or M?)
1968年 『親指のうずき』(By the Pricking of my Thumbs)
1973年 『運命の裏木戸(英語版)』(Postern of Fate)