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獣医師広報板のキャラクター:ココロちゃんインドって動物愛護の偉大な国なの?
回答:ムクムク・megumi takeda
初出:2018/12/24
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<質問>
マハトマ・ガンジーの「国の偉大さ、道徳的発展は、その国における動物の扱い方で判る」ですが、インドって動物愛護の偉大な国なのですか。


<回答:ムクムク>
以下は日本の外務省のインドについての注意です。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/asia/india.html
インドは狂犬病で年間2万人以上が死亡していると書かれています。
その原因は95%が犬からで、野犬が放置されていると書かれています。
野犬が放置されている理由は「インド人は宗教上の理由で殺生を好まないため」です。
インドの多数派の宗教はヒンズー教徒で、ヒンズー教徒は特定の動物を神聖視したりします。
その為に以下のような事件も起こっています。
https://www.sankei.com/world/news/170706/wor1707060076-n1.html
つまり、インドでは宗教で動物の殺生を好みませんが、狂犬病で年間2万人以上死亡しますし、異教徒を動物食を理由に殺すような事件もあります。
このように動物の扱いが多数派の宗教の教えに基づく国と、そうでない日本と同様にあてはめることが出来るかと言えば無理です。
日本は、野犬が子どもを死に至らしめたことがありますが、裁判で行政の動物管理を問われています。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail3?id=20480
つまり、年間2万人以上狂犬病で人が死亡しても殺生を好まないという考えはインドの多数派の宗教であり、日本では通用しない。
もちろん、ガンジー氏も多数派の宗教教徒です。
日本とインドでは、動物に関して国民の基本的な意識が違いすぎて、偉大かどうかは別にして、参考にはできないと私は考えます。


<回答:megumi takeda>
あなたが「動物愛護」の定義を、多くの日本人が思っているように、「犬猫と言う愛玩動物をことさら殺さない。大事にする」と理解されているならば、インドは「動物愛護の偉大な国」とは正反対の動物虐待国家です。

インドでは宗教上の理由から、憲法48条で牛の殺害を禁じています。
https://indiankanoon.org/doc/1452355/
48 prohibiting the slaughter, of cows and calves and other milch and draught cattle.
48条 牛と子牛、その他の乳牛と使役牛の屠殺を禁止する。

またインドでは、刑法で牛などの特定の動物を経済的価値の有無にかかわらず、殺害や傷害は最高で懲役5年と罰金の併科で処罰されます。
しかし経済的価値がない、野良犬猫などは、殺害や傷害に対する処罰規定すらありません。
https://indiankanoon.org/doc/3563/
429 Mischief by killing or maiming cattle, etc., of any value or any animal of the value of fifty rupees.
Whoever commits mis?chief by killing, poisoning, maiming or rendering useless, any elephant, camel, horse, mule, buffalo, bull, cow or ox, whatever may be the value thereof, or any other animal of the value of fifty rupees or upwards, shall be punished with imprisonment of either description for a term which may extend to five years, or with fine, or with both. 
429条 牛などと、任意のそのほかの50ルピー以上の経済的価値があるいかなる動物を殺害する、もしくは後遺障害を与え他人に被害を与えること。
何人であっても、すべての象、ラクダ、ウマ、ラバ、水牛、野牛、雌牛、雄牛はその経済的価値にかかわらず、または経済価値が50ルピー以上のすべての動物を殺害、毒を与える、後遺障害を与える、または無用な死体の利用をした者は、5年間までの懲役刑か罰金、またはその両方が科されます。

事実インドは一部の州で狂犬病対策として、州政府自ら野犬を大量に殺害しています。
また狂犬病の脅威から、住民が私的に大量に殺害していますが、処罰される法的根拠がありません。
人口約350万人のケララ州では、2015年に狂犬病対策として、州政府が公的事業として4万頭を殺処分したとのイギリスのメディアの報道があります。
なおこの数字は州政府による事業のみの数字で、民間の犬殺害を含めれば、50万頭が殺害されたとの推計もあります。
https://www.ibtimes.co.uk/eyewitness-why-southern-indian-state-kerala-killing-thousands-stray-dogs-1512745

ケララ州政府による、野犬殺害の公的事業は、それが違法であるとの提訴が行われ、2015年に最高裁判所での判決が確定しました。
最高裁判所の判決は、「経済的価値がない犬(野犬)の殺害は刑法で処罰できない」とし、「ケララ州の大量野犬殺害を合法」としました。
https://www.quora.com/Is-it-legal-to-kill-a-street-dog-in-India
Supreme court has not banned killing of dogs altogether.
As the Supreme Court observed, “There can be no trace of doubt that there has to be compassion for dogs. and they should not be killed in an indiscriminate manner, but indubitably the lives of the human beings are to be saved, and one should not suffer due to dog bite because of administrative lapse.”
Killing a house pet can attract a jail term of up to five years.
But stray dog is not a pet dog, it is nuisance which pause threat to humans .
The Indian Penal Code does not specifically recognize offences against animals and crimes like killing or maiming, which are dealt under the category of offences against "property" of people and this excludes stray animals as they are not "assets".
最高裁判所は犬の殺害を完全に禁止していません。
最高裁判所が認めたとおり、「犬には同情が必要であることは間違いありません。 無差別に殺されるべきではありませんが、人の生命は救われるべきであり、行政上の過失のために犬の咬傷によって人が苦しんではなりません」。
家庭(人が飼育している)のペットを殺すことは、最高5年間の刑期をもたらす可能性があります。
しかし、野良犬(飼い主がいない、無主物)はペットの犬ではありません、人間に脅威を与える迷惑な存在です。
インドの刑法は、動物に対する犯罪を特に認めていません。
人の「財産(つまり飼育動物、経済的価値がある動物)」に対する、犯罪の範疇で扱われている殺害や傷害のような行為は犯罪ですが、野良(人に飼われていない、無主物。経済的価値がない)の動物は「財産」ではないので、(刑法上の処罰から)除外されています。

先の回答で引用されている外務省の資料、「インド人は宗教上の理由で殺生を好まないため,野犬がそのまま放置」は、インドの法令や最高裁の判決、メディアの報道を鑑みれば、正確とは言えません。
インドでは、ケララ州に限らず、野犬の私的な駆除は盛んにおこなわれています。
なおインドでは牛のと殺は厳しく禁じられていますが、ナーガランド州など複数の州では、安価な肉として犬肉が一般に食べられています。
もしあなたが、「動物愛護」を犬猫の愛護と理解されているのであれば、インドは「動物愛護の偉大な国」ではありません。
牛愛護の偉大な国ではあるでしょう。
日本で流布されている「インドは殺処分ゼロ」ですが、犬猫に関すれば真逆の大嘘です。
*敬称を略させていただきます。

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