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獣医師広報板のキャラクター:ココロちゃん動物の殺処分、ガス室と静脈注射の特徴
回答:ムクムク
初出:2018/12/24,修正:2018/12/25,追記1:2019/02/21,修正:2019/03/02,
追記2:2019/03/04,追記3:2019/10/03,追記4:2020/01/03,追記5:2020/01/12,
追記6:2020/03/05,追記7:2020/03/10,追記8:2020/03/11,追記9:2020/07/20,
追記10:2020/11/10,追記11:2021/06/13,追記12:2022/09/20
追記13:2022/09/21,追記14:2022/09/21,追記15:2022/09/26,追記16:2022/10/10
追記17:2022/10/11,追記18:2022/11/25,追記19:2022/11/26,追記20:2022/11/28
追記21:2023/01/06,追記22:2023/01/07,追記23:2023/05/21,追記24:2023/07/27
追記25:2023/09/22,追記26:2024/03/01
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◆こどもあんぜんサイト宣言◆
こどもあんぜんサイト宣言

<質問>
犬猫の殺処分のガス室ですが、動物は苦しむのでしょうか。
また、静脈注射による殺処分は苦しまないと聞きましたが、そうなのですか?


<回答>
まず結論を先に書きます。
犬猫の殺処分に使用されるのは二酸化炭素(炭酸ガス)は刺激性がなく、まず動物はガスに気がつくことなく昏睡状態になり、その後に死に至ります。
ただし、ガス室のような閉所に閉じ込められた動物によっては、恐怖を感じ暴れることがあります。
まず動物は気がつくことなく昏睡状態になることについて説明します。
動物は酸素を吸い込み、二酸化炭素を吐き出しています。
つまり、殺処分に利用される二酸化炭素は、動物自身が作り、自然に存在するガスで、刺激性がありません。
ではなぜそのような身近なガスで死に至るのでしょうか。
それは、ガス室中に二酸化炭素を注入し、ガス室中の二酸化炭素濃度が上がることにより、動物の肺での呼吸の際に、酸素ではなく二酸化炭素とヘモグロビンが結合し、全身に運ばれます。
通常は、肺で酸素がヘモグロビンと結合し、全身に運ばれることにより、脳などの組織に酸素が行き届くのですが、ヘモグロビンは酸素より二酸化炭素の方が結合能力が高い。
ですので、ガス室中の二酸化炭素濃度が上がると、ヘモグロビンは酸素ではなく二酸化炭素と結合し、動物の特に酸素要求量の多い脳が酸素欠乏になり、動物は自然に昏睡状態になります。
これは人の一酸化炭素中毒も同じで、環境中の一酸化炭素濃度が上がると人は気がつくことなく昏睡状態になり、外部からの救助が間に合わなければ取り返しのつかないことになります。
つまり、二酸化炭素による殺処分は、動物はまず昏睡状態になり、その後死に至ります。
欠点は、元気な動物が閉所に閉じ込められることにより、動物によっては激しく暴れることがあると言うことでしょう。
静脈注射による殺処分は、静脈などに麻酔薬などを多量に注入し、死に至らせます。
この場合も問題があります。
小猫や病気・老齢により動けない動物には、静脈注射は難しくありません。
ただ、元気な動物は助手が動物を動かないように保定し、その上で静脈注射しなければなりません。
保定に対して、元気な動物は強い恐怖を感じる個体もいます。
そのような動物には、より強く保定しなければならなくなりますが、それが安楽であるかと言えば、言いにくいと思います。
なので、事前に餌に睡眠薬を混入させておいたりして、動物をまず昏睡状態にしておき、その後に麻酔薬を静脈注射をしたりします。
結局、まず昏睡状態にしておき、その後に死に至らせるというのは、ガス室も静脈注射も同じということになります。
ちなみに、牛のと殺ですが、キャプティブボルト(屠畜銃)を頭部に打ち、失神させた後に放血死させます。(イスラム教やユダヤ教のと殺は気絶させずに放血)
またブタは、電気ショックで気絶させた後に放血死させます。
これも、まず脳にダメージを与え、昏睡状態にしておき死に至らしめると言えます。
なお、鶏の伝染病対策の殺処分の際も、袋に鶏を入れ、二酸化炭素を注入する殺処分が行われていますが、最近、泡による殺処分方法が行われるようになりました。
https://www.excite.co.jp/news/article/Tocana_201607_post_10404/
この場合、原理は泡による窒息死です。
死に至るまで呼吸困難になります。
私は家畜福祉という面では泡は適切でなく、二酸化炭素を利用すべきと考えています。

#2019/02/21
<追記1>
二酸化炭素ガスによる殺処分は、酸欠、いわゆる酸素欠乏による窒息死ではありません。
このことを担保するためには、ガス室中に十分な酸素と適切な濃度の二酸化炭素ガスが存在しなければなりません。
その為に、ガス室は見合った動物の容積でなければなりません。
くれぐれも酸欠になるようなことがあってはならない。
この点さえ考慮すれば、動物福祉に見合った殺処分方法だと私は考えますので、作業に当たる皆さんはくれぐれも酸欠にならないようにご考慮ください。

#2019/03/04
<追記2>
本文の「事前に餌に睡眠薬を混入させておいたりして、動物をまず昏睡状態にしておき」ですが、元気な動物では睡眠薬が効いてくるとふらふらの状態になるのですが、なかなか昏睡状態にはならない場合があります。
このような場合、ふらふらの状態で動き回ろうとするので転倒して頭や体を床や壁に何度も打ち付けることがありますので、一概に速やかな昏睡状態への移行とは言えない場合があります。

#2019/10/03
<追記3>
先日、捕獲器で捕まった野外猫が運び込まれてきたが、捕獲器の中で大暴れしたのか鼻を中心に顔面をひどく損傷していた。
では、この猫は何か死に至るガスを吸引したのかといえば、ただの空気である。
なれない閉所に閉じ込められた動物は激しく暴れる場合がある。
そのことと、ガスの存在は関係ないのである。

#2020/01/03
<追記4>
私は獣医歴が40年超えているが、当初より安楽死にはペントバルビタールという麻酔薬を過剰投与している。
麻酔薬なので動物はまず昏睡状態になり、その後呼吸が止まるので、私は安楽死と考えているが、このペントバルビタールが入手出来なくなり、筋弛緩剤の単独投与で殺処分している行政があるという。
元々は二酸化炭素ガスによる殺処分だったのだが、一部人間の抗議で注射による殺処分に固執し、ペントバルビタールの静脈注射による殺処分から筋弛緩剤の投与になったと聞く。
結論から言います。
筋弛緩剤の投与は安楽死ではありません。
理由を書きます。
脳は筋肉ではありませんので、筋弛緩剤を投与されても意識は失いません。
その上で、呼吸筋が弛緩し、呼吸が出来なくなります。
つまり動物は呼吸したいのに出来ない状態になり、苦しんで死にます。
窒息死です。
医療関係者の犯罪行為で筋弛緩剤を投与され生還したケースでは、地獄に落ちたみたいだったと証言しています。
しかし、一酸化炭素中毒や二酸化炭素中毒から生還したケースでは、眠ってしまったと証言しています。
一酸化炭素中毒や二酸化炭素中毒ではまず脳が酸素欠乏になることによって昏睡状態になるからです。
一部の人間がうるさいから、動物が息絶えるまで苦しむ方法をとる。
バカかと思います。
*参照:筋弛緩剤の投与による動物の殺処分は安楽死にあたるのでしょうか。

#2020/01/12
<追記5>
米国獣医学会:安楽死に関する研究会報告2000(VII)
http://nichiju.lin.gr.jp/mag/05811/06_5.htm
現在の所、日本獣医師会の声明や指針は見当たらないが、このページは日本獣医師会のものなので、これが日本獣医師会の考えだと思われる。
二酸化炭素(CO2)は米国獣医学会と日本獣医師会では安楽死である。

#2020/03/05
<追記6>
二酸化炭素中毒で複数人の死亡事件があった。
ドライアイスは気化すると二酸化炭素ガスになる。
つまり、保健所などで殺処分に使われるガスである。
狭い空間に二酸化炭素ガスが充満すれば苦しむひまはない。
いきなり意識を失う。
生活に溶け込んでいるドライアイスであるが、注意は必要である。
〇原典:
https://www.facebook.com/koji.kawamura.33/posts/2917999341655634
https://www.facebook.com/koji.kawamura.33/posts/2920049948117240
https://www.facebook.com/koji.kawamura.33/posts/2922182277904007

#2020/03/10
<追記7>
今、殺処分の方法に大変な影響を与える事態が起こっています。
それは、私なんかが若い頃から入手出来たバルビツールという麻酔薬が、輸入できなくなったのです。
その原因はアメリカの死刑に使用され、ヨーロッパ連合(EU)が輸出を嫌ったと聞いています。
今まで、二酸化炭素ガスによる殺処分より静脈注射による殺処分がいいと言われていましたが、その前提となる薬物がなくなったというのが現状です。
ある行政では筋弛緩剤による殺処分が行われたと聞いています。
筋弛緩剤は筋肉組織には作用しますが、脳のような神経組織には作用しません。
結果、意識は喪失せずに、呼吸筋が麻痺し、動物は呼吸が出来ないことを意識しながら死にます。
私はこれを安楽死だとは考えていません。
静脈注射による殺処分がいいとされていた前提となる薬物がなくなった今、私は日本の獣医師会に動物の殺処分方法についての指針を出すように要望しています。
現在は、アメリカの指針を転載するのみです。
しかも、バルビツールが容易に入手出来てた頃の指針です。
殺処分は少ない方がいいと私も思います。
しかし、殺処分は動物が苦しまない方がいい。
前提となる静脈注射の薬剤が入手出来なくなった今、真面目にきちんと考えるべきだと思います。
〇原典:https://www.facebook.com/koji.kawamura.33/posts/2927083570747211

#2020/03/11
<追記8>
そもそも、他の生き物の命を絶つのに残酷でないことなどあるのだろうか。
私は二酸化炭素ガスによる殺処分について、一度も残酷かどうか書いていない。
むしろ何度も、閉所に閉じ込められて動物によっては暴れることがあると書いている。
それは、たとえ酸素を入れても同じ事である。
しかし、静脈注射は暴れないのだろうか。
噛みつく大型犬にどうやって静脈注射する。
だれかが押さえ込まなければ、静脈注射できない。
それは安楽なのだろうか。
いやそんな動物は麻酔銃で眠らせたり、麻酔薬を餌に混ぜて昏睡状態にしてから静脈注射すればいいという方がいるかもしれない。
でもね、麻酔がかかるまで、動物によってはひどく暴れることがあるのですよ。
本題の残酷ですが、何か絶対値があるのだろうか。
人によって感じ方が違う。
スーパーの肉売り場で、鶏や子豚のまるのまま販売を残酷と意見した人を見たことがあります。
私は学園祭でそのような状態の肉を切り分けて、パックで販売しました。
大人気でした。
TNRで雌猫が妊娠していて、動いている子宮を摘出するのが耐えられなくなり、そのような仕事を辞めた獣医師を知っています。
私は仕方なくやっています。
安楽死は若い頃は依頼がありました。
この歳になって殺生は嫌なので、なるべく逃げるようにしています。
先日、ヨーロッパで日本人の安楽死をされる医師をテレビで見ました。
辛い仕事だなーと思いました。
誰かが眉をひそめる仕事がある。
その仕事をやる人もいる。
もちろんやらない人もいる。
みんなが同じ感性で、同じように仕事をうけたり断ったりしていたら、世の中成り立たない。
私はそう考えています。
〇原典:https://www.facebook.com/koji.kawamura.33/posts/2931540966968138

#2020/07/20
<追記9>
ある地方都市で外来生物で害獣であるアライグマの殺処分法が変わるそうである。
それまでは捕獲用のケージごと用水路やため池などに沈めて水死させたり、食物や水を与えず衰弱死させていたそうである。
しかしこれでは死ぬまでアライグマは意識があり、息を引き取るまで苦しむ。
これらの方法から二酸化炭素ガスによる殺処分に変更するそうである。
それならば、アライグマは閉所に入れられた動物として暴れることはあるが、二酸化炭素ガス自体はアライグマに対して無刺激で昏睡になり、意識喪失状態で死を迎える。
動物福祉にそった殺処分方法だと思う。
行政によってはガス室を設置しないことをうたっているところがある。
アライグマや大型犬の咬傷事故犬はどうするつもりだろうか。
動物管理は住民の安心安全を守る重要な仕事であるが、殺処分は動物福祉にそったものでなくてはならい。
科学や知識よりも感情で行動する狂信的な愛護に迎合することなく、真面目に動物福祉にそった行政を実行していただきたいと希望している。
〇朝日新聞ニュース:https://www.asahi.com/articles/ASN7K3GR0N7BUHNB006.html?iref=pc_ss_date

#2020/11/10
<追記10>
ペットの安楽死の指針を獣医師会に作成するように要望したところ、令和二年近畿地区連合獣医師会で議案として提案されました。
賛成議決されると日本獣医師会で検討され、ペットの安楽死の指針が日本獣医師会で作成されるようになるかもしれません。
バルビツール酸剤がなくなった今、今は無い薬に頼るわけに行かず、日本の獣医師が参照できるきちんとした指針がのぞまれます。
令和二年近畿地区連合獣医師会議案2。

#2021/06/13
<追記11>
リンク先は死刑囚が薬物注射を暴れたりして逃れたニュースである。静脈注射は大人しく腕を出してくれてこそ出来るが、そうでなければ多数で押さえつけなければ出来ない。人だけでなく犬猫も同様である。よほど老齢や病気で衰弱し、昏睡状態の動物なら静脈注射は難しくないが、元気な動物となれば近くに寄れない動物もいる。それを押さえつけて注射するのが安楽死であるのなら、安楽死とはずいぶん残酷なものとなる。二酸化炭素と同様に、練炭自殺の一酸化中毒であばれて逃げ出したという話は聞かない。皆さんおだやかに眠り、その後死に至っている。それは二酸化炭素も同じである。ただ意識を失うときの様子は動物により違う。意識を失わないように暴れる動物もいる。それは獣医なら麻酔でよく経験していることであるが、それを苦しんでいると言えば、麻酔による手術も出来ないと言うことになる。
〇Yahooニュース:18回もの薬物注射を生き延び、死刑執行を免れた男。新型コロナウイルス感染で死亡(アメリカ)

#2022/09/20
<追記12>
ペットの安楽死の指針を獣医師会に作成するように要望したところ、令和二年近畿地区連合獣医師会で議案として提案されました。
賛成議決されると日本獣医師会で検討され、ペットの安楽死の指針が日本獣医師会で作成されるようになるかもしれません。
バルビツール酸剤がなくなった今、今は無い薬に頼るわけに行かず、日本の獣医師が参照できるきちんとした指針がのぞまれます。
令和二年近畿地区連合獣医師会議案2。

#2022/09/21
<追記13>
当サイト(獣医師広報板)の意見交換掲示板に以下の質問が投稿されました。
殺処分に伴う動物の苦痛について

>高濃度の一酸化炭素を一気に吸入するならばともかく
頻繁に練炭自殺やテント内での一酸化炭素中毒が起こりますが、さてこれが一気に一酸化炭素を注入しているのでしょうか。
苦しむとおっしゃるが意識があれば逃げるはずですよね。
意識は早期になくしているから逃げられないんだと私は考えます。
意識をなくした動物は夢遊状態になります。
場合によってはバタバタし、体を傷つけることもあります。
これを苦しんでいるのかと言えば、動物は意識的に行動していません。
状態として、夢遊になっている。
リンク先の動画では明らかに夢遊状態の犬の様子が見られます。
それを苦しんでいると言うかですが、犬の意識はありません。

#2022/09/21
<追記14>
このFAQを読まれた獣医師の寅26先生から以下のようなコメントいただきました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ペントバルビタールが入手困難になり困りましたが、類似のセコバルビタールが代用できるそうです。
米国では人の尊厳死に使用しているようです。
ご参考までに。
実験動物の安楽死の課題:安楽死処置におけるセコバルビタールの有用性
私も一応用意はしてありますが、まだ使用例はありません、めったにないことなので。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
リンク先のpdfファイルは、実験結果の学術文献なので一般の人には馴染みにくいとは思いますが、以前実験動物の安楽死に使用されていた比較して、セコバルビタールの有用性が実験的に証明されています。
私自身開業獣医師でペントバルビタールが手に入らなくなり、正直困っていましたが、セコバルビタールはペントバルビタールの代替えとして使用できる可能性があると思います。

#2022/09/26
<追記15>
以下のようなニュースがありました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ペントバルビタールが入手困難になり困りましたが、類似のセコバルビタールが代用できるそうです。
米国では人の尊厳死に使用しているようです。
ご参考までに。
安楽死が“普通の死”になる時代 約21%のアメリカ人に安楽死の選択権 死まで31時間かかることも
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
このように、アメリカでもセコバルビタールは入手困難のようです。
私自身、馴染みの薬問屋で納品を依頼したのですが、規制がかかっているそうで入手出来ませんでした。
規制の内容については不明で、一時的なのか動物病院では半永久的に不可なのか分かりませんでした。
その際に、薬屋さんが以下の資料を持ってきました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
動物実験計画申請における麻酔薬および安楽死法の選択について
(2)推奨される安楽死法
・深麻酔下による放血、灌流固定
・頸椎脱臼(マウス、ラット(200g以下))
・バルビツール酸誘導体の過剰投与
 ラボナール(チオペンタールナトリウム) 100-150mgの腹腔内
 アイオナール(セコバルビタールナトリウム) 150mgの腹腔内
 イソゾール(チアミラールナトリウム) 150-200mgの腹腔内
 ペントバルビタールナトリウム 100-150mgの腹腔内
・炭酸ガス
・吸入麻酔の過剰投与
・断頭
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
と記載されていた。
ちなみに炭酸ガスとは二酸化炭素ガスのことである。

#2022/10/10
<追記16>
獣医師の安楽死の方法に、いわゆる麻酔をかけて意識を消失 させ、その後死に至る薬剤を投与すればいいという意見があった。
確かに開業獣医師は、何種類かの麻酔法や静脈確保になれている。
ただ問題は、まだ目が開いていない子猫やかみ癖のある大型犬の殺処分をどうするかなのです。
というのは、動物管理の現場ではそのような動物に対して殺処分を行うから。
目が開いていない子猫では、腹腔内注射がしやすい。
また、かみ癖のある大型犬をかなりの力持ちが保定して静脈注射したとして、その動物は恐怖で大暴れするだろう。(これを安楽死というのは難しい)
これなども腹腔内注射か、事前に睡眠薬投与による意識を消失後、死にいたる処置が適切だと思う。
町の開業医はいわゆる麻酔をかけて意識を消失 させ、その後死に至る薬剤を投与するのは有効だと思う。
動物管理の現場は同じことは出来ないので、注射であるならば基本腹腔内注射が中心になると思う。
その場合、入手出来なくなったペントバルビタールの代替えとして、セコバルビタールに期待しています。

#2022/10/11
<追記17>
昨日、動物管理上の安楽死と動物病院の安楽死は少し違うと書きましたが、その理由をもう少し説明しておきます。
一言で言えば、動物の体格や元気さが違うと言えるかもしれません。
動物病院では、治療困難動物や、明らかにコントロール出来ない苦痛を訴えている動物が安楽死の対象になります。
このような動物は元気がありませんし、大きさが小型犬の成犬から大型犬の成犬程度、中心は猫や小型犬となります。
このような動物に麻酔は容易だし、血管確保も容易です。
麻酔をかけておいて死にいたる処置も容易です。
動物管理センターなどでは、一番多いケースは目も空かないような子猫。
この場合は、血管確保は容易ではありません。
腹腔内注射が適切だと思いますし、腹腔内注射を前提とした薬剤が適切でしょう。
また、咬傷事件をおこした大型犬も想定されますが、これを力づくで押さえ込んで静脈確保して麻酔を施すのは、私は安楽死とは思えない。
犬は恐怖で大暴れするからです。
この場合は、事前に睡眠薬投与するとかの方法も採れますし、麻酔銃や吹き矢による麻酔も使えるでしょう。
このように、一言で安楽死と言っても、動物病院と動物管理センターではケースが違う。
おのずとして、方法も違う。
感情的に同じ方法を全てのケースに適応するのではなく、動物に恐怖を与えにくく、担当する術者の安全を前提とした方法がとらられべきで、そういう意味では動物管理センターでの安楽死は現場に即した方法であり、外野の感情論は排除すべきモノだと考えています。

#2022/11/25
<追記18>
先日の梨泰院事故の際、日本の医師が過密になると二酸化炭素濃度が上がり、麻酔作用により眠ってしまうと言うようなことを言っていた。
で、「炭酸ガス(二酸化炭素)」と「麻酔」でググってみた。
リンク先のような論文が引っかかってきた。
ニワトリの屠殺方法における炭酸ガス麻酔とペントバルビタール麻酔の比較
まず、炭酸ガスを鶏に吸わせて麻酔状態にしておいて、屠殺したらどうだろうという研究だった。
対比薬物がペントバルビタールは研究のためだよなー。
だって、屠殺の前処理にペントバルビタール使ったら食用にならないだろう。
まっ、炭酸ガス麻酔という用語があるんだと知りました。

#2022/11/26
<追記19>
昨日、二酸化炭素による麻酔効果の論文に対する私の感想で、炭酸ガス麻酔という用語があるんだと知りましたと書きました。
はじめて知ったと言うより、違和感があると言った方がよかったかもしれません。
私は獣医師であるが、研究職は経験ない。
臨床だけである。
臨床にとって麻酔とは可逆的、つまり外科手術の前に施し、手術中の痛みを感じなくさせ、手術後は速やかに覚醒する。
そのような現象を麻酔という。
炭酸ガス麻酔と言われても、不可逆的、つまり元の覚醒状態にはならないだろう。
臨床家の一人としての感想である。
昨日、「炭酸ガス(二酸化炭素)」と「麻酔」でググってみた時に、以下のような論文も引っかかってきた。
シカゴ大学における動物の安楽死(1996年以前版)
安楽死法
少し前の指針であるが、当時シカゴ大学ではバルビタールよりも二酸化炭素が優位であったことが分かりました。


#2022/11/28
<追記20>
先日、二酸化炭素ガスによる殺処分を取材した記者が動物が苦しんでいたと記事を発表した。
私の感想は、記者にも二通りあるなーである。
一つは科学に詳しく、科学は実験・検証であることを知っている記者。
もう一つは、そのようなことは全くご存じなく、見たまま、感情のまま記事を書く記者である。
科学的な記事ならば、二酸化炭素ガス以外の要因を排除します。
例えば、ガス室にいれて、しばらく大気や酸素を注入する。
これで動物が暴れたら、密閉された空間に入れられた元気な動物特有の反応となる。
実際、うちは捕獲器に入れられたTNRの猫が来るが、暴れる猫もいて、最悪のケースは顔の皮膚が数カ所破けていた。
当然なかの空気は大気である。
暴れたからと言って、ガスの性ではない。
密閉された空間で酸素や大気で暴れなかった動物が、二酸化炭素ガス注入後暴れたとしたら、二酸化炭素ガスの影響が初めて言えるのである。
しかし、記事を書かれた記者さんは見たままをそのまま書かれるタイプ。
これでは、東から出る太陽で太陽が地球を回っていると言える。
実際、地動説を訴えた学者は宗教裁判で有罪になっている。
科学的検証は大事である。
感情でモノを言えるのなら、何でも言える。

#2023/01/06
<追記21>
二酸化炭素による殺処分は窒息で苦しむんだと主張される方が少なくないです。
このような事故が過去ありました。
ドライアイスの二酸化炭素中毒で死亡事故
お棺の中に入れられたドライアイスから二酸化炭素ガスが発生し、それがお棺の中に充満して、知らずにお棺の中に顔を入れた方が残念なことに亡くなった事故です。
周囲はただ亡くなった父に頬ずりしているものだと思っていたが、二酸化炭素の麻酔効果により昏睡状態になり、手遅れになった。
それほど二酸化炭素ガスは刺激性がなく、速やかに眠ってしまいます。
二酸化炭素ガスで本人が苦しむのなら、本人自身脱出する、ないしは周囲が気がつくでしょう。
残念な事故です。(合掌)

●一部コメント:一獣医師
1997年自衛隊訓練中、火山性二酸化炭素での死亡事故。
窪地にたまっていた二酸化炭素で瞬時に意識を失い、それを助けようとした上官が同じように足を踏み入れ、計三人が亡くなった事故。
当時の報道では、もがき苦しむのではなくバタっと倒れてそのままだったそうです。
学生時代よく遊びに行った田代平だったのでゾッとしました。
青森県八甲田山:自衛隊員集団酸欠事故

●一部コメント:一獣医師
こんななんてことない窪地なんですが、CO2は重いので高濃度で溜まっていたんでしょう。
濃度は15〜20%とのことです。
東八甲田の魔の窪地、10年前の陸自隊員の遭難事故

#2023/01/07
<追記22>
昨日、ドライアイスに起因する二酸化炭素ガス中毒例を紹介しましたが、周囲の人が気が付かないほど速やかに眠るガスです。
しかしこれが、愛護の世界となると苦しむと言う人が少なくない。
想像するしかないが、元気な犬や猫はガス室のような密室に入れられたら恐怖で暴れる個体がいる。
私などはTNRの捕獲器で連れてこられた猫が金属製の捕獲器に突進していて、顔をズタズタにしたケースに遭遇している。
では、捕獲器の中の空気は特別かといえば、ただの大気。
暴れたからと言って、それが周囲の気体の性とは限らないのである。
昨日の書き込みである獣医さんから貴重な例を教えていただいた。
自然界のくぼみにたまった二酸化炭素ガスでたくさんの人が暴れることなく倒れていった例である。
これは、二酸化炭素ガスが空気より重いので、下にたまる性質を表しているが、それならば、ガス室に滑り台を作り、下のくぼみに事前に二酸化炭素ガスを充満させておき、入り口から動物をくぼみに滑らせたら、暴れる時間もなく二酸化炭素ガス麻酔状態にすることが出来るのではないか。
現在のように、ガス室に入れてからガスを注入するのではなく、事前に高濃度のガスだまりを用意しておくのである。
そんなことも検討できるのではないかと考えています。

#2023/05/21
<追記23>
ネットをぶらぶらしているとこんな質問を見た。
二酸化炭素ガスよりも苦しまない殺処分方法はないですか。
私なりに、説明したいと思います。
まず、死にいたる障害が起こった場合、生物は普通苦しみます。
例えば、激しく吐くとか、著しい呼吸困難とか、全身のけいれんとかです。
筋弛緩剤などは呼吸筋が活動しませんので、呼吸できなくて苦しむわけです。
では、そのような苦しみを感じさせない方法が大きく二通りあります。
ひとつは脳を銃撃するとか、首をへし折るような一瞬にして死に至らせる方法です。
もうひとつは、まず麻酔をかけて動物の意識を消失させ、その上で死に至らせる方法です。
意識がないので、何をしても動物は苦しまずに死に至ります。
この二通りの方法が、あると言うことをまず理解してください。
で、主題の「二酸化炭素ガスよりも苦しまない殺処分方法はないですか。」ですが、動物の条件は同じではないです。
例えば犬でも、へその緒がまだぶら下がっているような子犬と先程人に大けがさせた筋肉質の大型犬では条件が違います。
猫でも同じように、ベイビーと歯と四本の足の爪で抵抗する人慣れしていない猫では条件が違います。
双方ともベイビーの場合は頸椎脱臼(首をへし折る)のも速やかな死に至りますし、何らかの麻酔薬を過量腹腔注射しても、数分で死に至るでしょう。
問題は、全身で抵抗してくる咬傷大型犬や人慣れしていない成猫です。
何かというと静脈注射が最上とおっしゃる自称愛護家がいらっしゃいます。
では、私から質問します。
どうやって静脈注射するのですか?
やれる物ならやってみてほしいくらいです。
例えば、網でもかぶせて器具や多人数で押さえつけて静脈注射したとします。
それ安楽死ですか?
それ虐待ですよ。
現場はいろんなことを考えます。
例えば、麻酔の吹き矢で眠らせて、それから静脈注射する。
または、ごちそうに睡眠薬を入れて眠らせ、それから静脈注射する。
これなら出来ますが、問題はひとつあります。
動物はいきなりは寝ないのです。
だんだん眠くなる。
しかし動物は興奮していますので、必死になって暴れ、体を打ち付けたりします。
落ち着いている動物は割と静かに寝ていきますが、興奮している動物は暴れることもあります。
落ち着いている動物には、老齢動物や病気で弱っている動物が代表的です。
興奮して暴れる動物は、怖いです。
うかつに近づくことが危ない。
私は、もう寝ただろうと思って手を出して大けがしたことがあります。
ベイビーや老齢動物、病気で弱っている動物はどのような処置でも暴れることは少なく、元気な動物は脳への銃撃のような一瞬の処置でない限り、暴れることがある。
で、私なりに考えてみました。
二酸化炭素ガスを密室に注入する方法というのは、十分の濃度になるまで元気な動物は暴れる時間がある。
二酸化炭素ガス自体は刺激性がないガスなので、存在に気がつかないのですが、元気な動物を密室に入れたら普通暴れる。
ならば、このような方法はどうか。
野外訓練でくぼみに入った隊員がそのまま眠り死に至ったり、お棺に充満したドライアイスからの二酸化炭素ガスで顔を故人にすり寄せた方がそのまま死んでしまった事件があります。
つまり二酸化炭素ガスは空気より重い。
くぼみにたまりますし、くぼみにおちた動物はそこが十分な濃度の二酸化炭素ガスが存在すれば、速やかに眠ります。
であるのなら、事前に箱の底に十分な濃度の二酸化炭素ガスを充満させておき、動物をスロープでくぼみに滑らすのはどうだろうと思う。
二酸化炭素ガス濃度検知器はレストランなどの人の集まる所なら大抵ある機械。
その機械をくぼみに設置すれば濃度は分かる。
この方法なら、動物を暴れさせずに意識喪失に持ち込めるように考えています。

#2023/07/27
<追記24>
こんなニュースがあった。
ーーーーーーーー
保健所が引き受けたネコが暴れケージを損壊…キジトラ色のネコが逃走中【新潟】
ーーーーーーーー
猫は狭い環境に入れられると暴れるケースがある。
決して、ケージの中に二酸化炭素ガスがあるからでは無い。
二酸化炭素ガス室は当然密室である。
中に入れて暴れる猫の方が多いのではないか。
しかしそれは中の気体の性ではない。
私は、以前にも書いたが殺処分に二酸化炭素ガスを使用するなら、二酸化炭素ガスが重く窪地にたまる性質を利用して事前に溜めて置いた場所に動物をスロープで滑らしたらどうかと考えている。
事前に濃度を上げてあれば、暴れる時間がないと想定している。

#2023/09/22
<追記25>
昨日、以下のようなニュースをアップしました。
ーーーーーーーーーーーー
ひつぎのドライアイスで中毒=CO2吸い込み、死亡事故も―消費者庁
ーーーーーーーーーーーー
CO2とはペットの殺処分に使用される二酸化炭素ガスです。
この二酸化炭素(CO2)に消費者庁などが注意喚起したとのニュースである。
柩に入れられるドライアイスが溶けると二酸化炭素(CO2)ガスが発生し、このガスは空気より重いので柩に溜まり、遺族が顔を入れるとガス濃度によるとほとんど瞬時に意識を喪失し、死の危険があるとの発表であった。
以下は国民生活センターの調査報告である。
ーーーーーーーーーーーー
国民生活センターは今年7〜8月、約10キロのドライアイスを入れたひつぎのCO2濃度の推移を測定。ふたを閉めた20分後には、「ほとんど即時に意識消失する」とされる30%を超え、4時間後からは90%前後を維持した。ふたを外すと60%まで下がったが、50分過ぎても30%を下回らなかった。 
ーーーーーーーーーーーー
つまり、動物の殺処分においても事前に二酸化炭素(CO2)ガス濃度30%以上のガス溜まりを用意しておき、そこに動物をスロープで下ろせば瞬時に意識を喪失します。
これは二酸化炭素(CO2)ガスの麻酔効果であり、低酸素症ではありません。
事前に二酸化炭素(CO2)ガス濃度30%越えのガス溜まりを用意する装置は、静脈注射より動物福祉にそう殺処分方法となると私は考えています。

#2024/03/01
<追記26>
このようなニュースがあった。
ーーーーーーー
連続殺人犯の死刑執行失敗 米アイダホ州
ーーーーーーー
私は献血ファンだったので、生涯50回以上成分献血をしているが、血管確保は容易だったように思う。
何度も針を刺されたことがないが、みんながみんなではない。
ニュースのように血管確保が困難な人がいる。
まして犬や猫はまず保定から大変な苦労である。
自由に動く回れたら血管確保が出来ない。
大型の咬傷犬を人力で保定し、血管に薬物を注入して殺処分することが人道的なように言われる人がいる。
でも、イヌも必死である。
思いっきり暴れる。
それを押さえつけて保定し、術者が静脈注射する。
これが人道的だと主張する人がいるのなら、その人達にやっていただきたい。
私はゴメンである。

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