獣医師広報板トップページ動物よくある相談メニュー筋弛緩剤の投与による動物の殺処分は安楽死にあたるのでしょうか。
獣医師広報板のキャラクター:ココロちゃん筋弛緩剤の投与による動物の殺処分は安楽死にあたるのでしょうか。
回答:megumi takeda,ネットワーカーMY,ネットワーカーAY,ムクムク
初出:2020/01/10,追記1:2020/11/10
◆「動物よくある相談」利用についての注意事項
★情報は自己責任でご利用ください。
★記載されている記事は獣医師広報板の掲示板に投稿されたものが中心で、獣医師広報板の
 見解を代表するものではありません。
★飼育方法の質問は意見交換掲示板をご利用ください。
◆こどもあんぜんサイト宣言◆
こどもあんぜんサイト宣言

<回答者:megumi takeda>
World Society for the Protection of Animals の資料ですが、筋弛緩剤の単独使用は安楽死方法としては適切ではないとしています。
https://caninerabiesblueprint.org/IMG/pdf/Link72_Euthanasia_WSPA.pdf?fbclid=IwAR1Om444_zSL_NWpHoR0EPfemXvvnOMlZMWn0ueLyh_oAUdR7xSLK3BkjF8#search=%27Muscle+relaxant+alone+animal+Euthanasia%27

<回答者:megumi takeda>
It induces muscle relaxation and also possesses some analgesic properties. If used alone this drug may not be a suitable pre-euthanasia agent for some conditionally acceptable euthanasia methods, as it does not induce sufficient anaesthesia. 筋弛緩剤は筋肉の弛緩を誘発し、鎮痛特性も備えています。しかし単独で使用した場合は十分な麻酔効果を誘発しないために、この薬剤はいくつかの条件付きで許容される安楽死前置薬であって、適切な安楽死方法ではない可能性があります〜AVMAでも単独での筋弛緩薬での動物の殺害は、推奨される安楽死ではないとガイドラインで示していたと思います。他の薬剤と組み合わせることでは、使用しても良いとあったと記憶しています。

<回答者:ネットワーカーMY>
自分で経験したことしかお話できませんし、獣医学の教育も受けていませんが、その動物の体力が著しく落ちていない限りは安楽死ではない気がします。

<回答者:ネットワーカーAY>
アメリカ合衆国の 死刑執行に 筋弛緩剤の一つ パンクロニウムが 使われていますね。

<回答者:megumi takeda>
私の想像ですが、麻酔薬を用いて意識を喪失させてから筋弛緩剤を用いるのではないかと思います。

<回答者:ネットワーカーAY>
ペントバルビタール またはチオペンタールとの ドラッグカクテル

<回答者:ムクムク>
まず、その殺処分が動物福祉にそったものなのかについて言う前に、動物福祉にそった安楽死とは何かと言うことを説明させていただきます。
青酸カリは死に至る薬物です。
例えばこの青酸カリを静脈注射して殺処分したとします。
これは安楽死になるかですが、なりません。
青酸カリを静脈注射された動物は死ぬまで意識が消失しませんので苦しむことになります。
以前よく使われたペントバルビタールという麻酔薬を静脈注射して殺処分したとします。
この場合、動物はまず昏睡状態になり、その後死に至ります。
これは、安楽死と言っていいと思います。
つまり、動物福祉にそった安楽死とは、動物をまず昏睡状態にして苦痛を感じなくし、その後に死に至る方法と私は考えています。
この昏睡状態にする方法ですが、脳を電撃・打撃する方法が家畜で使われていますが、犬猫では二酸化炭素ガスがよく使用されていました。
これは、二酸化炭素ガスが酸素よりヘモグロビンと結合する性質を利用して動物をまず昏睡状態にし、その後死に至らせます。
*参照:動物の殺処分、ガス室と静脈注射の特徴
これも安楽死と私は考えています。
では本題の筋弛緩剤の静脈注射による殺処分ですが、筋弛緩剤の投与を受けた動物は全身の筋肉が弛緩します。
しかし、脳は神経組織ですので意識は喪失しません。
動物は呼吸したいのに、呼吸筋が動きません。
苦しいので声を出したいのに声帯の筋肉が動きません。
四肢の筋肉が動きませんので、もがくこともできずに息絶えます。
私は、暴れたり、声を出したりしませんので殺処分としては優れた方法だとは認めますが、安楽死だとは考えていません。
ようは、薬物の投与が静脈注射かガスの吸引かが安楽死かどうかではなく、まず脳を昏睡状態にしてから死に至らせるのが動物福祉にそった安楽死だと考えています。

<回答者:ムクムク>
米国獣医学会:安楽死に関する研究会報告2000(VII)
http://nichiju.lin.gr.jp/mag/05811/06_5.htm
現在の所、日本獣医師会の声明や指針は見当たらないが、このページは日本獣医師会のものなので、これが日本獣医師会の考えだと思われる。
二酸化炭素(CO2)やバルビツール酸塩は米国獣医学会と日本獣医師会では安楽死であるが筋弛緩剤の単独投与は安楽死では紹介されていません。

<回答者:megumi takeda>
全米獣医師会の、「動物の安楽死ガイド」の最新版2019年版が公開されていましたので貼っておきます。
https://www.vin.com/apputil/image/handler.ashx?docid=9231574&fbclid=IwAR0165zFS1z6wPkxBIQe6ZMmuqwMNOBUnuSN-Cc03lk_eJvhaQarJsZ4wdg

<回答者:megumi takeda>
↑Inhalation of CO2 causes respiratory acidosis and produces a reversible anesthetic state by rapidly decreasing intracellular pH. ↑CO2の吸入は呼吸性アシドーシスを引き起こし、細胞内pHを急速に低下させることで可逆的な麻酔状態にします(81ページ)〜とあり、全米獣医師会では「推奨する安楽死」としています。

<回答者:megumi takeda>
↑筋弛緩剤(Muscle relaxant)の記述は、安楽死のメソッドとしては記述がないです。

<回答者:megumi takeda>
AVMA2007年版の「安楽死ガイドライン」では、筋弛緩剤の単独投与は許容できないとあります。 Thus, agents that induce muscle paralysis without loss of con sciousness are not acceptable as sole agents for euthanasia. 意識を失うことなく筋肉麻痺を誘発する薬剤は、単独では安楽死の薬剤として用いることは許容できない。
https://www.njfishandwildlife.com/pdf/rehab_avma_euthanasiaguidelines.pdf?fbclid=IwAR0v8dpLlllf7dj7gS61MaB_2tv_QWviU2bWgq7VoV_crqYn5YsGF1lJhMI#search=%27AVMA+euthanasia+Muscle+relaxant%27

<追記1><回答者:ムクムク>
ペットの安楽死の指針を獣医師会に作成するように要望したところ、令和二年近畿地区連合獣医師会で議案として提案されました。
賛成議決されると日本獣医師会で検討され、ペットの安楽死の指針が日本獣医師会で作成されるようになるかもしれません。
バルビツール酸剤がなくなった今、今は無い薬に頼るわけに行かず、日本の獣医師が参照できるきちんとした指針がのぞまれます。
令和二年近畿地区連合獣医師会議案2。

*敬称を略させていただきます。

◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

サポーター:OrangeCafe様のリンクバナー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。


6歳のリンリンで〜す。
拡大画像
画像募集中!!(無料)
画像集

◆獣医師広報板の主張

◆獣医師広報板管理人の独り言
利用上の注意事項&メニュー
10月のBest
  1. 大阪万博ペット同伴絶対反対(133)
  2. レース鳩の足輪を付けているドバトを見つけたら(90)
  3. ドイツの狩猟法による犬猫の殺処分数(76)
  4. TNRはいつか無くなる社会事業なのか(75)
  5. 繁殖犬の年齢制限犬のみ扱う団体は動物保護団体か繁殖業界の下請けか(74)
  6. 猫は譲渡の工夫より、産まさない方が大事(61)
  7. 安楽死に利用されていたペントバルビタールの代替え薬(58)
  8. 二酸化炭素ガス中毒で周囲の人も気がつかないうちに手遅れになった例(56)

◆獣医師広報板よくある質問(FAQ)

◆獣医師広報板からのお願い
獣医師広報板をご利用、本当にありがとうございます。
獣医師広報板は個人サイトですが、その運営はボランティアスタッフが担い、運営資金はサポーターの応援に頼っています。
獣医師広報板は多額の累積赤字を計上しております。
サポーターは企業でも個人でも結構です。
ぜひ、獣医師広報板をサポーターとして応援ください。

◆PC版コンテンツ利用数ベスト7(2023年10月期)
  1. 管理人の独り言(9,347)
  2. 猫のカロリー計算(8,216)
  3. 動物よくある相談(4,736)
  4. 犬のカロリー計算(4,942)
  5. 迷子動物、保護動物掲示板(2,412)
  6. 広報板カフェ(1,867)
  7. ペット動物獣医師セミナー(956)
コンテンツ別アクセス数

◆電子図書
電子図書「"犬と麻薬のはなし−麻薬探知犬の活躍」は、2022年2月23日より第四版になっております。
新しいエピソードも追加され、データーも更新されています。
第一版、第二版、第三版を読まれた方も、是非第四版をお読みください。
犬と麻薬のはなし−麻薬探知犬の活躍−第四版2022/02/23公開

◆一般市民向けの動物に関するセミナー・イベント
★毎週土曜日午後1時〜4時
ペットロスホットライン
ペットロスホットラインは、今のお気持ちをお聴きする電話です。
★WEB講座
★12月1日:オンライン
★12月2日:東京都千代田区,12月3日:島根県松江市,12月9日:栃木県真岡市,12月16日:愛知県名古屋市,12月23日:栃木県栃木市,12月23日:東京都千代田区,12月24日:島根県出雲市
★12月3日:東京都豊島区
★12月3日:東京都府中市
★12月3日:オンライン
★12月4日-18日:オンライン
★12月9日:広島県尾道市
★12月10日:オンライン
★12月16日:東京都武蔵野市&オンライン
★12月16日:東京都港区
★12月17日:千葉県千葉市
★12月22日,26日,27日:広島県三原市
★12月24日:オンライン
★2024年1月6日,7日:神奈川県相模原市
★2024年1月6日-8日:神奈川県横浜市
★2024年3月2日-3日:神奈川県横浜市
★2024年4月4日-7日:東京都江東区
★2024年9月20日-22日:大阪府大阪市

セミナー・イベント情報はメールにて広報内容を送ってください。(掲載無料)

◆ペット動物獣医師&動物看護師向けの動物に関するセミナー・イベント
利用上の注意事項&メニュー

◆経済動物獣医師向けのセミナー・イベント

◆公衆衛生獣医師獣医師向けのセミナー・イベント

◆実験動物獣医師獣医師向けのセミナー・イベント

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2023 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。