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獣医師広報板のキャラクター:ココロちゃん動物の殺処分、ガス室と静脈注射の特徴
回答:ムクムク
初出:2018/12/24,修正:2018/12/25,追記1:2019/02/21,修正:2019/03/02,追記2:2019/03/04,追記3:2019/10/03,追記4:2020/01/03,追記5:2020/01/12
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<質問>
犬猫の殺処分のガス室ですが、動物は苦しむのでしょうか。
また、静脈注射による殺処分は苦しまないと聞きましたが、そうなのですか?


<回答>
まず結論を先に書きます。
犬猫の殺処分に使用されるのは二酸化炭素(炭酸ガス)は刺激性がなく、まず動物はガスに気がつくことなく昏睡状態になり、その後に死に至ります。
ただし、ガス室のような閉所に閉じ込められた動物によっては、恐怖を感じ暴れることがあります。
まず動物は気がつくことなく昏睡状態になることについて説明します。
動物は酸素を吸い込み、二酸化炭素を吐き出しています。
つまり、殺処分に利用される二酸化炭素は、動物自身が作り、自然に存在するガスで、刺激性がありません。
ではなぜそのような身近なガスで死に至るのでしょうか。
それは、ガス室中に二酸化炭素を注入し、ガス室中の二酸化炭素濃度が上がることにより、動物の肺での呼吸の際に、酸素ではなく二酸化炭素とヘモグロビンが結合し、全身に運ばれます。
通常は、肺で酸素がヘモグロビンと結合し、全身に運ばれることにより、脳などの組織に酸素が行き届くのですが、ヘモグロビンは酸素より二酸化炭素の方が結合能力が高い。
ですので、ガス室中の二酸化炭素濃度が上がると、ヘモグロビンは酸素ではなく二酸化炭素と結合し、動物の特に酸素要求量の多い脳が酸素欠乏になり、動物は自然に昏睡状態になります。
これは人の一酸化炭素中毒も同じで、環境中の一酸化炭素濃度が上がると人は気がつくことなく昏睡状態になり、外部からの救助が間に合わなければ取り返しのつかないことになります。
つまり、二酸化炭素による殺処分は、動物はまず昏睡状態になり、その後死に至ります。
欠点は、元気な動物が閉所に閉じ込められることにより、動物によっては激しく暴れることがあると言うことでしょう。
静脈注射による殺処分は、静脈などに麻酔薬などを多量に注入し、死に至らせます。
この場合も問題があります。
小猫や病気・老齢により動けない動物には、静脈注射は難しくありません。
ただ、元気な動物は助手が動物を動かないように保定し、その上で静脈注射しなければなりません。
保定に対して、元気な動物は強い恐怖を感じる個体もいます。
そのような動物には、より強く保定しなければならなくなりますが、それが安楽であるかと言えば、言いにくいと思います。
なので、事前に餌に睡眠薬を混入させておいたりして、動物をまず昏睡状態にしておき、その後に麻酔薬を静脈注射をしたりします。
結局、まず昏睡状態にしておき、その後に死に至らせるというのは、ガス室も静脈注射も同じということになります。
ちなみに、牛のと殺ですが、キャプティブボルト(屠畜銃)を頭部に打ち、失神させた後に放血死させます。(イスラム教やユダヤ教のと殺は気絶させずに放血)
またブタは、電気ショックで気絶させた後に放血死させます。
これも、まず脳にダメージを与え、昏睡状態にしておき死に至らしめると言えます。
なお、鶏の伝染病対策の殺処分の際も、袋に鶏を入れ、二酸化炭素を注入する殺処分が行われていますが、最近、泡による殺処分方法が行われるようになりました。
https://www.excite.co.jp/news/article/Tocana_201607_post_10404/
この場合、原理は泡による窒息死です。
死に至るまで呼吸困難になります。
私は家畜福祉という面では泡は適切でなく、二酸化炭素を利用すべきと考えています。

<追記1>
二酸化炭素ガスによる殺処分は、酸欠、いわゆる酸素欠乏による窒息死ではありません。
このことを担保するためには、ガス室中に十分な酸素と適切な濃度の二酸化炭素ガスが存在しなければなりません。
その為に、ガス室は見合った動物の容積でなければなりません。
くれぐれも酸欠になるようなことがあってはならない。
この点さえ考慮すれば、動物福祉に見合った殺処分方法だと私は考えますので、作業に当たる皆さんはくれぐれも酸欠にならないようにご考慮ください。

<追記2>
本文の「事前に餌に睡眠薬を混入させておいたりして、動物をまず昏睡状態にしておき」ですが、元気な動物では睡眠薬が効いてくるとふらふらの状態になるのですが、なかなか昏睡状態にはならない場合があります。
このような場合、ふらふらの状態で動き回ろうとするので転倒して頭や体を床や壁に何度も打ち付けることがありますので、一概に速やかな昏睡状態への移行とは言えない場合があります。

<追記3>
先日、捕獲器で捕まった野外猫が運び込まれてきたが、捕獲器の中で大暴れしたのか鼻を中心に顔面をひどく損傷していた。
では、この猫は何か死に至るガスを吸引したのかといえば、ただの空気である。
なれない閉所に閉じ込められた動物は激しく暴れる場合がある。
そのことと、ガスの存在は関係ないのである。

<追記4>
私は獣医歴が40年超えているが、当初より安楽死にはペントバルビタールという麻酔薬を過剰投与している。
麻酔薬なので動物はまず昏睡状態になり、その後呼吸が止まるので、私は安楽死と考えているが、このペントバルビタールが入手出来なくなり、筋弛緩剤の単独投与で殺処分している行政があるという。
元々は二酸化炭素ガスによる殺処分だったのだが、一部人間の抗議で注射による殺処分に固執し、ペントバルビタールの静脈注射による殺処分から筋弛緩剤の投与になったと聞く。
結論から言います。
筋弛緩剤の投与は安楽死ではありません。
理由を書きます。
脳は筋肉ではありませんので、筋弛緩剤を投与されても意識は失いません。
その上で、呼吸筋が弛緩し、呼吸が出来なくなります。
つまり動物は呼吸したいのに出来ない状態になり、苦しんで死にます。
窒息死です。
医療関係者の犯罪行為で筋弛緩剤を投与され生還したケースでは、地獄に落ちたみたいだったと証言しています。
しかし、一酸化炭素中毒や二酸化炭素中毒から生還したケースでは、眠ってしまったと証言しています。
一酸化炭素中毒や二酸化炭素中毒ではまず脳が酸素欠乏になることによって昏睡状態になるからです。
一部の人間がうるさいから、動物が息絶えるまで苦しむ方法をとる。
バカかと思います。
*参照:筋弛緩剤の投与による動物の殺処分は安楽死にあたるのでしょうか。

<追記5>
米国獣医学会:安楽死に関する研究会報告2000(VII)
http://nichiju.lin.gr.jp/mag/05811/06_5.htm
現在の所、日本獣医師会の声明や指針は見当たらないが、このページは日本獣医師会のものなので、これが日本獣医師会の考えだと思われる。
二酸化炭素(CO2)は米国獣医学会と日本獣医師会では安楽死である。

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